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故障診断とは?

「LSI」「VLSI」などに代表されるように、技術の進歩により論理回路はますます大規模化・高集積化しています。 それに伴い、回路内に何らかの欠陥が発生した場合、その原因や位置を素早く正確に特定することが不可欠になります。 これが「故障診断」です。高橋研究室では、この故障診断法について研究しています。

故障モデルとは?

製造過程での配線不良などで、回路内の信号線が短絡あるいは断線して、正常時とは異なる論理値を持つようになります。 このように、欠陥を論理的な振る舞いに注目してモデル化したものが「故障モデル」です。 故障モデルにはブリッジ故障、オープン故障など、さまざまなものがありますが、ここでは最もシンプルな「縮退故障モデル」について紹介します。

  • 縮退故障モデル
  • ある信号線Lにおいて、Lの論理値が1か0に固定される故障を縮退故障といい、1に固定されるときを1縮退故障、0に固定されるときを0縮退故障といいます。 信号線Lの1縮退故障はL/1、0縮退故障はL/0と表記します。 信号線Lの論理値が1のとき、0縮退故障の故障信号は励起しますが、1縮退故障の故障信号は励起しません。 また、論理値が0のとき、1縮退故障の故障信号は励起しますが、0縮退故障の故障信号は励起しません。
0縮退故障

故障検出とは?

あるテストパターンを検査回路の外部入力に印加し、外部出力で得られた応答値が期待値と異なっていた場合、検査回路内のどこかに故障が発生していることがわかります。 このように、検査回路内の故障を検出するテストパターンをフェイルテスト (fail-test)といいます。 一方、外部出力で得られた応答値が期待値と等しい場合、たとえ検査回路内に故障が存在していたとしても、故障を検出することはできません。 このように、検査回路内の故障を検出しないテストパターンをパステスト(pass-test) といいます。

故障検出

例として、下の回路での故障検出について考えてみましょう。 この回路は、4つのNANDゲートで構成されたEXOR(排他的論理和)回路です。信号線Cに0縮退故障が発生していることにします。 テストパターンとして考えられる以下の4つの入力対で故障を検出できるかどうか調べてみましょう。簡単のため、信号線Lの論理値をV(L)で表記します。

EXOR回路
  1. テストパターン(A,B)=(0,0)の場合
  2. 故障が存在しない場合、V(C)=0となります。また、故障C/0が存在する場合でもV(C)=0となるため、故障を励起できません。 よって、テストパターン(A,B)=(0,0)はパステストとなります。
  3. テストパターン(A,B)=(0,1)の場合
  4. (1)同様、信号線Cで故障が励起しないのでテストパターン(A,B)=(0,1)はパステストとなります。
  5. テストパターン(A,B)=(1,0)の場合
  6. 故障が存在しない場合、V(C)=1,V(L)=1となります。また、故障C/0が存在する場合、V(C)=0,V(L)=0となるため、故障信号が外部出力で観測されます。 よって、テストパターン(A,B)=(0,0)はフェイルテストとなります。
  7. テストパターン(A,B)=(1,1)の場合
  8. (3)同様、信号線Cで故障が励起し、外部出力までその影響が伝播するのでテストパターン(A,B)=(1,1)はフェイルテストとなります。
故障診断では、これらの情報を用いることによって故障の位置を推定します。

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